ピアノでも人気の作品、C.ドビュッシーの前奏曲集第1集「沈める寺」。
今度、愛媛県松山市で仏教会主催のコンサートで演奏するのですが、「寺」繋がりでこの曲を選んだものの、私もしかしてものすごく縁起悪いことしようとしてない?と今更不安になってます。
こんにちは。
この「沈める寺」はフランスのブルターニュ地方に伝わる伝説を元に、ドビュッシーが作曲したのですが、どういう伝説かざっくり説明すると:
昔々ブルターニュ地方に「イスの町」があり、大きな水門で囲まれた町の中にたくさんの人々が暮らしていました。町にはたくさん教会があったものの、外界との接触を絶った人々は神様の存在も忘れ、どんどん放蕩生活に耽っていきました。特に王女は毎日男を連れ込んでは情事のあとに殺すなど、異常な生活を送っていました。彼女はある日外界から男を引き入れるために、父であった王が持つ水門の鍵をこっそり開けたのですが、たちまち町は海に飲み込まれ、かろうじて逃げた王と司祭を除いて人々は町もろとも沈んでしまいました。
この海では、今でもたまに海の底からイスの教会の鐘の音が聞こえてくるのです。
こちらの絵はその海に飲み込まれるシーンを描いた、E. V. リュミネ作『娘を捨てよと王に求める聖ゲノル』(1884年)です。
馬から落とされているのは一緒に逃げようとした王女で、逃げているのが王様と司祭です。
実はこの伝説、実話が元になっています!
というのも、このブルターニュ地方でかつて海岸線にあった町で海に飲み込まれていった町が多いのだそうで、イスもそうした町の一つなんだそうです。
「イス」は「ケル・イス」と呼ばれていましたが、ブルターニュの言葉でイスは”低い”、ケルは”町”というの意味で、これには「海抜が低くていつか海に飲まれちゃうかもしれない」という意味も込められているんだとか。
余談:有名な話ですが、「Par Is」はブルターニュの言葉で「イスに匹敵」するという意味で、これが「Paris=パリ」になったそうです。
ちなみにこの「ブルターニュ」という名前は、ブリテンから来ています。
イギリス本土がグレートブリテン、このブルターニュはリトルブリテンというようです。
ここら辺の地域的なお話は私には難しくてできないのでWikiに丸投げします。
そういうわけで、この地方で多く飲み込まれていった町のお話に、聖書の教訓話(ソドムとゴモラ的な)とブルターニュ地方に住んでいたケルト人が信仰していたケルト神話がくっつき、イスの伝説として形づくられたそうです。
じゃあこのイスってどこらへんにあったとされるの?
ということで調べてきました。
大体ここらへん!
( えっなんでオランダこんな渋滞してるの?)
拡大すると、
ここらへん。
ロマンがあっていいですね。
というわけでドビュッシーの「沈める寺」もこういうお話からできているのですが、
今度はこちらの絵を紹介。
騙し絵で有名なM.C.エッシャーの「沈める寺」。
こちらはドビュッシーの「沈める寺」を聴いたエッシャーが、その音楽を元に描いたとされています。
それでは、ハープの演奏による音楽をお聴きください!