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7/7のリサイタルに向けて

 

「演奏家は、コンサートが楽しみで仕方ない人がやる職業」と言われて育って来た私が、遂に約10日後に久しぶりのソロリサイタルを、浜離宮朝日ホールという素晴らしい場所で行います。

 

こんにちは、すっかりストレスで逆流性食道炎になっている中村です。

 

それでも前を向いてしっかり強く生きて行きたいと思います。吐く。

 

 

さて、本日は、リサイタルの聞きどころや、なぜ選曲したのかなどをざっくばらんに簡単に書いていこうと思います。

 

 

①J.S.バッハ(サッキ編):トッカータとフーガ 二短調 BWV565

 

「鼻から牛乳」で有名なこちらの一曲。「ハープって音小さいんでしょ?」と言われ続けてきた私が、「そんなことはないんです!」と音量重視で選びました。

意外とオルガンのような重厚な音も出せるので、「あれ、意外!」と思って頂ければ幸いです。

絶対作曲者バッハじゃない。

 

 

②ブルグミュラー:ハープの為のロンド op.1(日本初演)

 

実は自分のプロフィールにも「埋もれた名曲の発見をライフワークとし」と書いているので、今回のシリーズではこちらをご紹介することにしました。

ピアノをやった人なら全員通っているブルグミュラーの道。

「ブルクミュラー」なのか「ブルグミュラー」なのか悩んだ末に「ブルグミュラー」と表記する決意をした一曲。

 

 

③シューマン(中村愛編):子供の情景 op.15(全曲)

 

なんで私が好きな作曲家ってオーケストラにも全然ハープ使ってないんだろう!!!という嘆きを私にさせてくれる作曲家の一人。

「鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス」精神で臨みました。

今回のリサイタルで一番楽曲分析をした作品です。

実はハープ的には「木馬の騎士」がめちゃくちゃ弾きにくい曲で、できるなら繰り返しをせず、なんならこの曲をすっ飛ばして次に行きたいなと思っています。(ちゃんと弾きます)

 

 

④サン=サーンス:ハープのための幻想曲 op.95

 

「サン=サーンスもハープの曲実は書いてるんですよ!」と世に広く言いたくなってプログラムに入れた作品。

最後の1ページがカッコ良い。

サン=サーンス自身が「なんだったらここカットして最後のページに飛んでいいよ」と指示したカット版での演奏をします。

フルバージョンはかなりダレるのですが、やはりフルで演奏してる人は見たことがありません。

あそこの部分必要だったのかな。

 

 

⑤フォーレ:ハープのための即興曲 op.86

 

この日をもってこの曲は封印しようと心に決めている作品。

(先日の講座でもお話ししたのですが)多分フォーレが関わっているのは主題の作成だけで、あとは全てハープ奏者だったA.アッセルマンが作っていると見られます。

私がフォーレ作品をハープで多く取り上げているのに、この作品を取り上げないのは「?」と思われかねない!弾かなきゃ!という気持ちから入れました。

他のフォーレ作品の開拓を続けたいと思います。

 

 

⑥ドビュッシー(中村愛編):沈める寺

 

この曲を試しにハープで弾いてみたところ、「え、めっちゃ沈んでる寺の鐘っぽい!!」と一人で盛り上がったので、この気持ちを誰かと共有したく入れました。

よく「ハープって一番上とか一番下とかの弦って使うんですか?」と聞かれて、実はそんなにそこらへんの弦って使う機会がないのですが、この曲は珍しく一番上も下も使う曲です(しかも一番下は足りなくて他の弦で対応してます)。

こちらの曲に関しては私の過去のブログに細かい説明があるのでお読みいただけると幸いです。

<沈める寺のブログ>

 

 

⑦ラフマニノフ(中村愛編):前奏曲 op.3-2「鐘」

 

本当にハープで仕事取るって大変で、「知らない曲弾くよね?」とお断りされてしまうことも多く、「じゃあこういうのをハープで弾いたらいいのかなあ!!!」と悩んだ末やってみたら意外とハープで弾けて、しかもハープと合ってしまった作品。

「沈める寺」を弾き終わったあと、この曲のために一番下のドを♯に一度チューニングし直さなければならないので、咳をするならこちらの時間がオススメです。

 

 

⑧ヒンデミット:ハープのためのソナタ

 

生きて来た中で、一番弾いてて楽しい曲がこちらの曲なんです。

3楽章に付いている詩が、全体にも実はかかっていて、1〜3楽章まで全て舞台は同じ一つの教会で起きていることになっています。

1楽章:戦争から逃げて来た人々が教会に集っている様子

2楽章:その教会の庭で子供たちが遊んでいる様子

3楽章:L.H.ホルティ(1748-1776)による以下の詩が付いています:

 

君たち友達よ、私が死んでしまったら小さなハープを祭の後ろにかけておくれ

その壁には亡くなった乙女たちの死の花冠がいくつかほのかに光っている

僧侶は赤いリボンと共にざわざわ鳴っている竪琴を旅する人に親しげに示す

その赤いリボンは竪琴にしっかり巻きつけてくれ、金色の弦の下でひらひらしている時々彼は驚いて言う

「夕映えの中で弦は自然に音を響かせるのだ、蜂の羽音のように」と

それは教会の庭から吸い寄せられて来た子供たちにとって

その冠が震え慄いているように聴こえてみえるのだ

 

ちなみに私が死んでもハープは飾らなくて大丈夫です。

 

 

 

 

リサイタル、是非お越しいただけますと幸いです!

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